-叱る

テレビをつけると、鹿児島の小学校の、ジャズバンド部のドキュメンタリーをやっていた。
顧問の先生は雷先生と呼ばれ、ことあるごとにブチ切れる。しかし生徒には慕われている。
先生が耳コピして作ったプロ演奏の楽譜を練習し、国レベルの大きな大会に出るという。
特にすごいなと思ったのが、ドラムの女の子。怒鳴られ、罵倒され、出て行けと言われても泣きもせず、ぐっと先生を睨んで教室を出て行き、廊下で一人黙々と練習していた。懍としていて、大物。
前々日までリズムが合わないと散々キレる先生。ぐっと噛み締めて何度も同じ部分を繰り返す子供たち。ついに先生はブチ切れ、楽譜をびりびりに破いて出ていく。一斉に泣きだす子供たち。
家でも猛練習していたのだろう、翌日の大会前日には息が合うようになってきた。先生ももはや怒らなかった。むしろ、昨日もこうやってにこやかに練習すればよかった、反省している、と言っていた。
本番も、うまくいったみたいで。

叱れなくて、すぐめそめそ泣く私は、雷先生にも、ドラムの女の子にもなれない。